レーザーや切開などいろいろあるけれど結局どれがいいの?タトゥー除去の治療法の種類と選び方
タトゥーを入れたときは、嬉しい気持ちや楽しい気持ちで満ち溢れていたのではないでしょうか。
しかし、若気の至りでタトゥーを入れてしまったばかりに、のちのち後悔してしまう人が後を絶ちません。なぜなら、タトゥーがあることで、大衆浴場やプールを利用できなかったり、職業柄認めてもらえなかったりする場合があるからです。
タトゥーを除去する方法はさまざまありますが、どれも完璧な治療法とはいえません。ここでは、タトゥー除去の方法と選び方のポイントを紹介します。
タトゥー除去の方法
タトゥー除去は、クリニックで受けることができます。タトゥー除去の方法は、切除法、レーザー治療、植皮・削皮などが代表的なものです。
まず、それぞれの特徴をみていきましょう。
切除法
タトゥーが入っている皮膚を切除し、縫って縮める治療法です。レーザー治療では、タトゥーを薄くすることを目的としていますが、切除法はタトゥーが入っている部分を根こそぎ除去するため、確実に効果を得られます。タトゥーの大きさによって、施術回数が異なる点は注意しなければなりません。
縫合が必要であるうえに傷痕が残るため、身体への負担が大きい治療法です。ダウンタイムを以下にまとめました。
・7~10日に抜糸
・当日からシャワーを浴びることができますが、患部が濡れないようにする必要があります。また、入浴は抜糸後から可能です。
・アルコールの摂取は出血や腫れを招くため、術後1週間から可能です。
・縫合部に無理な力がかからないように注意し、術後2週間は安静にする必要があります。
・サウナや温泉は傷口が治癒する約1ヶ月後から可能です。
レーザー治療
タトゥー除去におけるレーザー治療は、タトゥー除去というよりはタトゥーを薄くする治療法です。そのため、完全にタトゥーを消したい人には向きません。
レーザーには、色素に反応するものと水分に反応するものがあります。タトゥー除去に利用するQヤグレーザーやCo2レーザーなどは、色素に反応するタイプのレーザーです。どのようにしてタトゥーが薄くなっていくのかみていきましょう。
(1)レーザーを照射すると、色素がレーザーを吸収します。
(2)吸収されたレーザーが瞬間的に発熱して色素を粉砕します。
(3)粉砕された色素は、マクロファージという細胞に分解されて、排出されます。浅い層にある粉砕された色素は、新陳代謝によって新しい肌に自然に置き換わるという仕組みです。
植皮
タトゥー除去における植皮とは、すなわち皮膚移植手術を指します。タトゥーがないところの皮膚をタトゥーの部分に移植する治療法です。全層植皮と分層植皮の2種類に分類されます。
全層植皮は、皮膚の真皮ごと厚く切り取って移植する方法で、分層植皮は真皮層の浅い部分までを移植します。また、分層植皮は次の3つに分類されます。
・シート植皮
採取した皮膚を直接移植する方法です。
・パッチ植皮
採取した皮膚を切り分け、パッチワーク状に移植する方法です。
・メッシュ植皮
採取した皮膚を特殊な機械で伸ばし、移植する方法です。全層植皮は移植した部位の生着率が低いため、分層植皮が選択されることが多いとされています。
植皮は他の部位から皮膚を採取するため、移植する部分だけではなく採取した部分にも傷痕が残ります。また、黒く盛り上がったような傷痕が残るため、タトゥーを除去できたとしても新たな悩みが発生してしまうことがあるでしょう。生着率が高いメッシュ植皮に関しても、ウロコ状の痕が残ってしまいます。
削皮
削皮とは、タトゥーが入っている部位を約90%削り取る治療法です。レーザー療法と同じく、マクロファージが分解しやすい状態を作ることを目的としています。
タトゥーが入っている部分を削り取るのですが、身体への負担を軽減するためにできるだけ薄く削り取るのが一般的です。削った部分にマクロファージが集まり、残った色素を分解してくれます。
皮膚を削るため、切除法と同じく入浴に制限を設けなければなりません。なお、削皮は医師の技術が大きく関係する治療法で、削り過ぎると上皮ができるまでに1ヶ月以上もかかることもあります。
タトゥー除去による痛み
タトゥー除去では、少なからず痛みが生じます。タトゥー除去の方法ごとに痛みについて解説します。
切除法
小さな範囲のタトゥーであれば、局所麻酔で施術ができます。手術後は、処方された鎮痛薬を飲めばそれほど強くは痛みません。
鎮痛薬を飲まない場合、うずくような痛みに悩まされることがあるので、我慢せずに飲むことが大切です。
レーザー治療
レーザーの照射時には、輪ゴムで弾かれたような痛みを感じます。小さな範囲のタトゥーであれば、患部を冷却することで痛みを抑えることができるでしょう。
広範囲にわたってレーザーを照射する場合は、麻酔クリームと冷却の併用がおすすめです。
植皮、削皮
切除法と比べて広範囲に渡って施術するため、痛みが出やすいとされています。傷は、乾燥すると痛みが増すので、特殊な保護シートで乾燥を防いで痛みを抑えることになるでしょう。
治療法の選び方
レーザー治療以外のタトゥー除去では、どうしても傷痕が残ります。とはいえ、レーザー治療が最適という訳ではありません。レーザー治療はタトゥーを完全に除去することができないからです。
タトゥーによる偏見によって生きづらさを覚えたり、大衆浴場やプールなどを利用できなかったりするので、タトゥーを除去することを最優先に考え、傷痕が残っても構わないという方もいます。そういった方は、切除法や植皮を選ぶとよいでしょう。
少しでもタトゥーを薄くしたいのであれば、レーザー治療がおすすめです。また、タトゥー除去は、どの治療法であっても少なからず痛みを感じます。痛み、タトゥー除去の効果、傷痕のどれを最優先にするかよく考えましょう。
おわりに
タトゥー除去の方法には、切除法やレーザー治療、植皮、削皮などがあります。タトゥーを綺麗に消すことができ、傷痕も残らないという治療法は存在しません。
痛みと傷痕、タトゥー除去の効果のどれを最優先に考えるかによって、最適な治療法が異なります。医師に相談して、自分に最も適した方法を選びましょう。