根性焼きの治療は切除かレーザーか?メリット・デメリットや治療期間を徹底解説
こんにちは、ビクアスクリニック秋葉原 院長の植木です。
今回は「根性焼き」の傷跡を治療する際、切除とレーザーのどちらを選ぶべきかについて詳しく解説します。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、じっくり検討することが大切です。
根性焼きとは

いわゆる根性焼きとは、タバコやライターなどの熱源で皮膚を焼き、深い火傷として痕が残ってしまった状態です。
非常に深い層まで皮膚組織がダメージを受けているため、自然に目立たなくなることは難しく、一般的には放置しても消えない傷跡と言われています。
腕に複数の丸い火傷痕を持つ方が多い印象ですが、腕に横向きの傷跡がいくつもあるとリストカットのように誤解されることもあり、治療を希望される方が少なくありません。
根性焼きの治療法(切除とレーザー治療)の特徴と傷跡、治療期間について
根性焼きの治療法には「切除」と「レーザー」の2つがあります。
切除治療
火傷の痕を丸ごと切り取って、縫合し、一本線の傷跡に変える方法です。横向きの傷を縦向きの手術跡に変えるイメージです。根性焼きの痕が複数あればまとめて切り取ったり、少しずつ個別に切除したりします。
切除することで根性焼き特有の丸い傷跡はなくなりますが、代わりに手術の縫合跡が残ります。
縫合跡は、患者様の体質や術後のケアによっては0.2mm程度の目立ちにくい線状に落ち着く場合もありますが、場合によっては赤みや硬さが残ったり、体質的にケロイドになりやすい方については、なかなか傷が落ち着かないリスクもあります。
切除後は1週間程度で抜糸を行い、その後、最低でも2~3週間ほどはテーピングをして傷が広がらないように固定します。
傷跡が赤みや硬さを伴うことがありますが、3~6ヶ月くらいかけて徐々に白い細い傷跡に落ち着いていきます。日焼けや激しい運動は傷が広がる原因になるため、術後はしばらく控えるのが望ましいです。

レーザー治療
レーザーは、ピコフラクショナルレーザーなどのフラクショナルレーザーを使い、皮膚の浅い層から少しずつ再生を促し、傷跡を「ぼやかす」治療を行います。皮膚組織が少しずつ入れ替わることで、傷跡を薄くしていくのが狙いです。
根性焼きの火傷は深い層までダメージを受けているため、浅い傷跡と比べると効果を実感するまで時間がかかる場合が多いです。
1回の照射で完全に入れ替わるわけではなく、だいたい10%程度ずつ少しずつ皮膚を入れ替えていくイメージなので、回数が必要になります。目安としては月1回のペースで、5回程度では十分な効果が出ないことも多く、10回以上が必要となるケースも珍しくありません。
当院ではピコフラクショナルレーザーを選択し、ダメージを極力抑えるようにしています。

ピコフラクショナルレーザーを使う理由は?
ピコフラクショナルレーザーは、皮膚にマイクロレベルの小さな傷をたくさん作ることで皮膚の再生をうながす治療です。
炭酸ガスレーザーやエルビウムヤグレーザーのように皮膚を大きく削らないため、ダウンタイムや色素沈着のリスクが少なく、比較的安心して受けていただけます。
深い傷には時間がかかりますが、少しずつ皮膚を入れ替えていくアプローチなので、傷の赤みや凹凸を目立ちにくくしていく効果が期待できます。
根性焼き治療後の注意点
切除後
切除の場合は、新しく縫った部分が広がらないよう、しばらくのあいだテーピング固定を行います。皮膚に強いテンションがかかると傷が開いたり、幅広い傷跡になる可能性があるため、筋トレや激しい運動は控えることをおすすめします。
さらに日焼けは色素沈着の原因となるので、術後からしばらくは紫外線対策をしっかり行いましょう。
レーザー後
レーザー治療後は色素沈着が起こりやすいので、やはり日焼けを避ける必要があります。
治療の合間には保湿をしっかり行い、肌を擦らないよう注意することでターンオーバーを整え、色素沈着や炎症を抑えることができます。
色素沈着が強く出た場合は、照射の感覚を少し空けるなど調整しながら治療を継続します。
レーザー治療の傷跡をきれいに治すにはどうしたらいいですか?
傷跡をきれいに治すポイントは、まず日焼けを避けることと、保湿をしっかり行うことです。紫外線を浴びると色素沈着が進みやすくなり、赤みが強く残る原因にもなります。
また、保湿を怠ると肌のターンオーバーが乱れ、傷の回復を妨げやすくなります。
擦ったり刺激を与えたりせずに、テーピングや保湿剤を活用してケアを続けることで、より細くて目立たない傷跡へと導くことができます。
根性焼き治療、切除とレーザーのメリットとデメリット
切除は、根性焼きの丸い傷跡を一本線の傷跡に変えられるので、スピーディに見た目の印象を変えられるメリットがあります。
デメリットとしては、切除手術を行う以上、新しい傷跡が必ず残ってしまう点が挙げられます。
体質によってはケロイドが生じやすい方もおり、そうした場合はどうしても盛り上がりや赤みを伴うリスクが高くなります。予防的に飲み薬を服用していただくなど対策は行いますが、それでも盛り上がりを完全に防ぎきれるわけではなく、再びケロイドになってしまう可能性は否定できません。
しかし、本当にケロイドを発症しやすい体質の方であれば、もともと根性焼きの跡自体がケロイド化していることが多いので、もし根性焼きの跡が現時点で盛り上がっていないようであれば、それほど心配しなくてもよいケースもあります。
お肌の状態や体質は個人差があるため、術後のフォローアップを通して、ケロイドのリスクをできるだけ低減させるよう努めています。
一方、レーザー治療はメスを使わないため、新たに大きな傷跡を作りたくない方には適していますが、回数が必要で効果を実感するまで時間がかかるというデメリットがあります。
根性焼きが深くまで及んでいる場合には、レーザーだけでは十分に目立たなくならない場合もあり、完全に消したい場合は切除が適しているケースもあるため、カウンセリングでどちらが良いか決めることになります。
根性焼き治療に関するよくある質問
切除とレーザー、どちらを選べばいいか迷っています
根性焼きは深い層まで傷が及んでいることが多いため、レーザー治療だけで完全に消すのは難しいケースもあります。 「できるだけ早く目立たなくしたい」「痕を根本からなくしたい」という方には切除を提案することが多いです。 一方、「新しい傷跡を作りたくない」「時間をかけてもいいから徐々にぼかしていきたい」という方にはレーザーをおすすめします。 あくまでも患者さまの傷の状態やご希望に合わせてご提案いたしますので、実際のカウンセリングでしっかり相談しましょう。
根性焼きをしてから、どのくらいの時期で治療を始められますか?
切除治療に関しては、患部が化膿したりジュクジュクしていない状態であれば比較的早いタイミングから始められます。
フラクショナルレーザーの場合は、火傷痕が完全に落ち着いた白い状態になってからの方が効果が出やすいです。
赤みがまだ強い段階でレーザーを照射すると、色素沈着が強まったり、ダウンタイムが長引く可能性があるため、タイミングを見極めてから進めることをおすすめしています。
痛みが怖いのですが、麻酔はできますか?
切除治療では、局所麻酔を用いて施術中の痛みを抑えることが可能です。
レーザー治療に関しては、痛みが軽度であるため通常は麻酔が必要ないことが多いですが、ご不安な方は施術前のカウンセリングでお気軽にお伝えください。
まとめ
根性焼きは皮膚の深い層までダメージを受けているため、完全に消すのは容易ではありません。
切除かレーザーか、どちらで治療をするかは、傷跡を「完全に消したいか」「新しい傷跡を作りたくないか」「どのくらいの期間をかけられるか」といった点で決まってきます。
早くはっきりした効果を得たいなら切除、時間をかけて少しずつぼかしたいならレーザー治療がおすすめです。
どの方法を選ぶにしても、紫外線対策やテーピング、保湿などの術後ケアがとても重要になります。
当院では、患者さま一人ひとりの傷の状態や希望に合わせた治療法をご提案しております。根性焼きの治療でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談にいらしてください。
動画でも紹介しています。ぜひご覧ください。