リストカット傷跡の赤みはいつ消える?半年以上続く場合の原因と治療法

リストカット傷跡の赤みはいつ消える?半年以上続く場合の原因と治療法
監修ラジニアクリニック 院長 植木健太郎
本記事は日本形成外科学会の診療ガイドラインおよび国内外の医学論文を参考に作成しています。傷跡の状態によって適した治療方法は異なるため、詳しくは医師へご相談ください。
目次
はじめに
「リストカットの傷跡が赤いまま残っている」
「時間が経てば自然に消えるの?」
「治療を受けた方がいいの?」
このような悩みを抱えている方は少なくありません。
リストカット傷跡の赤みは、傷が治る過程で起こる自然な反応です。しかし、傷の深さや体質によっては赤みが長期間続くこともあり、なかには医療機関での治療が適しているケースもあります。
この記事では、リストカット傷跡の赤みが消えるまでの期間や長引く原因、医療機関で行われる治療法について詳しく解説します。
リストカット傷跡の赤みはなぜ起こる?
傷ができると、身体は損傷した組織を修復するために炎症反応を起こします。
その際、傷の周囲では新しい毛細血管が形成され、血流が増加します。この血流増加によって傷跡が赤く見える状態が「赤み(紅斑)」です。
つまり赤みは、傷が治る過程で起こる正常な生体反応の一つです。
特にリストカットでは、
- 傷が複数本ある
- 同じ部位を繰り返し傷つけている
- 真皮の深い部分まで傷が達している
ことが多く、一般的な切り傷よりも赤みが長く続く傾向があります。
リストカット傷跡の赤みはいつ消える?
浅い傷の場合
比較的浅い傷であれば、赤みは3〜6か月程度で徐々に落ち着くことが一般的です。
傷跡は、
赤色
↓
ピンク色
↓
白色
という順番で変化していきます。
深い傷の場合
真皮深層まで達した傷では、赤みが半年〜2年程度続くことがあります。
傷跡は表面上治っているように見えても、内部では組織の再構築が続いているためです。
肥厚性瘢痕やケロイドの場合
傷跡が盛り上がっている場合は、赤みが数年以上続くことがあります。
自然に改善することもありますが、改善が乏しい場合は治療が必要になることがあります。
赤みが長引く原因
傷が深い
深い傷ほど組織損傷が大きく、炎症も長期間続きやすくなります。
傷の治癒が遅れた
感染や傷の開きがあった場合、炎症が長引き赤みが残りやすくなります。
紫外線
紫外線は傷跡の炎症を悪化させ、色素沈着の原因にもなります。
喫煙
喫煙は血流を低下させるため、傷の治癒を遅らせることが知られています。
ケロイド体質
体質的に傷跡が盛り上がりやすい方は、赤みも長期間持続する傾向があります。
赤みが消えた後も白い傷跡は残る?
多くの方が誤解していますが、赤みが消えたからといって傷跡そのものがなくなるわけではありません。
傷跡は成熟すると、
- 白い線状瘢痕
- 幅の広がった瘢痕
- 皮膚の凹凸
として残ることがあります。
特にリストカット傷跡では、赤みが落ち着いた後も「白い線が目立つ」という相談が多くみられます。
そのため、
「赤みを改善したい」
のか、
「傷跡そのものを目立たなくしたい」
のかによって適した治療法は異なります。
赤みが残る傷跡とケロイドの違い
自然改善が期待できる傷跡
- 平らな状態
- 徐々に色が薄くなっている
- かゆみや痛みがない
医療機関への相談をおすすめする傷跡
- 盛り上がっている
- 強い赤みが続く
- かゆみや痛みがある
- 傷跡が広がっている
このような場合は肥厚性瘢痕やケロイドの可能性があります。
赤みを悪化させないためのセルフケア
保湿を行う
傷跡の乾燥は皮膚バリア機能を低下させます。
ワセリンなど低刺激の保湿剤を使用し、乾燥を防ぎましょう。
紫外線対策
傷跡は紫外線の影響を受けやすい状態です。
- SPF30以上の日焼け止め
- 長袖
- アームカバー
などで保護することが大切です。
傷跡を擦らない
頻繁に触ったり擦ったりすると炎症が長引く可能性があります。
医療機関で行う赤み治療
血管レーザー(Vビームなど)
赤みの原因となる毛細血管に作用し、赤みの改善を目指す治療です。
特に赤みが強い肥厚性瘢痕では治療選択肢の一つになります。
IPL(光治療)
広範囲の赤みに対応できる治療です。
症状によって適応が検討されます。
ステロイド治療
肥厚性瘢痕やケロイドに対して行われます。
炎症や盛り上がりの改善が期待できます。
シリコンジェル・シリコンシート
傷跡の保湿と保護を目的に使用されます。
肥厚性瘢痕の予防にも用いられています。
フラクショナルレーザーは赤みに効く?
傷跡治療でよく耳にするフラクショナルレーザーですが、赤みを直接改善する治療ではありません。
フラクショナルレーザーは、
- 傷跡の凹凸改善
- 幅の広がった傷跡の改善
- 瘢痕組織の再構築
- 肌質改善
を目的として行われます。
そのため、赤みのみが気になる場合は血管レーザーなどが適していることがあります。
一方で、瘢痕組織の再構築が進むことで傷跡全体が成熟し、結果として赤みが目立ちにくくなることもあります。
リストカット傷跡は自然に目立たなくなる?
時間の経過とともに赤みは改善することが多いですが、完全に傷跡が消えるわけではありません。
特に、
- 深い傷
- 本数が多い傷
- 幅が広い傷
では白い線状瘢痕として残ることがあります。
このような傷跡に対しては、
- フラクショナルレーザー
- 切除術
- アブレーション治療
- 植皮術
などが治療選択肢となります。
傷跡の状態によって適した治療法は異なるため、専門医による診察が重要です。
このような場合は形成外科への相談をおすすめします
以下に当てはまる場合は、一度専門医へ相談することをおすすめします。
- 赤みが1年以上ほとんど変わらない
- 傷跡が盛り上がってきた
- かゆみや痛みがある
- 人前で腕を出すことに抵抗がある
- 就職活動や結婚式などを控えている
- 傷跡をできるだけ目立たなくしたい
傷跡は時間とともに改善することもありますが、状態によっては治療によって改善が期待できる場合があります。
まとめ
リストカット傷跡の赤みは、傷を修復する過程で起こる自然な反応です。
浅い傷であれば3〜6か月程度、深い傷では半年〜2年程度かけて徐々に落ち着いていきます。
しかし、盛り上がりやかゆみを伴う場合は肥厚性瘢痕やケロイドの可能性があり、医療機関での治療が適している場合があります。
また、赤みが改善しても白い傷跡は残ることがあるため、「赤みを改善したいのか」「傷跡そのものを目立たなくしたいのか」を明確にしたうえで治療を選択することが重要です。
ラジニアクリニックでは、リストカット傷跡の状態を丁寧に診察し、フラクショナルレーザー、切除術、アブレーション治療、植皮術など患者様一人ひとりに適した治療方法をご提案しています。
傷跡の赤みや見た目でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本形成外科学会・日本創傷外科学会. ケロイド・肥厚性瘢痕診療ガイドライン2020.
- Ogawa R. Keloid and Hypertrophic Scars Are the Result of Chronic Inflammation in the Reticular Dermis. Int J Mol Sci. 2017;18(3):606.
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- Gauglitz GG, Korting HC, Pavicic T, et al. Hypertrophic Scarring and Keloids: Pathomechanisms and Current and Emerging Treatment Strategies. Mol Med. 2011;17(1-2):113-125.