リストカットの傷跡を消したい方へ|セルフケアと治療法を形成外科専門医が解説します
夏になっても長袖を手放せない。
結婚を控えているのに、ウェディングドレスが怖い。
就職の面接で、腕を見られないか不安でたまらない。
リストカットの傷跡に悩んでいる理由は、人それぞれです。
最近ようやく自傷をやめられた方も、10年以上傷と向き合ってきた方もいらっしゃいます。
ただひとつ共通しているのは、「これから前に進みたい」という気持ちです。
その想いに、早いも遅いもありません。
このページでは、今日からできるセルフケアの方法と、当院で行っているリストカット跡の治療についてご説明します。
目次
まず知っておいてほしいこと
治療を検討するにあたって、あらかじめお伝えしておきたい大切なことが2つあります。
① 傷跡を「完全に消す」ことはできません
どのような治療法を用いても、傷跡を完全になかったことにすることは困難です。
治療で目指すのは、大きく2つの方向性があります。
ひとつは、
リストカットの傷跡だと気づかれにくい形へ整え、別の意味合いの傷として見える状態にすることです。
もうひとつは、
凹凸・テカリ・太さなどを改善し、全体として目立ちにくくすることです。
これらは目的や治療方法が異なるため、状態に応じて適切な方法をご提案します。
あらかじめこの点をご理解いただいたうえで、ご検討ください。
② 傷が落ち着いてから治療を行う必要があります
治療は、傷跡が十分に成熟してから行うのが原則です。
具体的には、赤みが落ち着き、白く安定した状態になってからが目安となります。
一般的には、受傷から最低でも1年以上空けることが推奨されています。
成熟前の傷に対しては、
傷跡を目立たなくする治療ではなく、
傷を落ち着かせ、きれいに治るよう促す治療(=傷の治療)が中心となります。
そのため、「傷の治療」と「傷跡の治療」は分けて考える必要があります。
「早く何とかしたい」というお気持ちはとても自然なものですが、
まずは現在の状態を正しく確認するためにも、カウンセリングでのご相談をおすすめしています。
今すぐできるセルフケア
医療機関での治療は、傷が安定してからでないと始められません。
それまでの間、あるいは治療と並行して、自分でできるケアを取り入れることも大切です。
カバーメイク(コンシーラー)
手軽に傷跡を隠せる方法として、コンシーラーを使ったカバーメイクがあります。
選ぶポイントは、傷跡の「今の色」に合わせることです。
まだ赤みが残っている傷にはグリーン系のコンシーラーが赤みを打ち消してくれます。
赤みが引いて白っぽくなった傷には、イエロー系や肌に近いベージュ系が自然に馴染みます。
仕上がりをより自然にしたい場合は、コンシーラーの前に化粧下地を薄く塗っておくと密着感が高まります。
腕用のコンシーラーやボディファンデーションも市販されており、顔用より崩れにくい製品もあります。
傷跡ケアクリーム
薬局などで購入できる傷跡専用のクリームも、継続的なケアのひとつです。
多くの製品に含まれているヘパリン類似物質には、保湿効果と血行促進作用があり、皮膚のターンオーバーを助けます。
赤みがある時期や、盛り上がりが気になる段階で取り入れると効果的とされています。
ただし、深い傷跡に対して劇的な改善を期待するのは難しく、あくまで補助的なケアと考えることが大切です。
毎日継続することが重要です。
傷跡隠し用テープ・シール
肌色の薄いフィルム状テープで、傷跡を物理的に覆う方法です。
メイクと違って汗や水に強いタイプも多く、プールや海など長袖が使えない場面でも活用できます。
凹凸がある傷跡には、メイクよりもカバー力が高い場合もあり、衣服への色移りの心配もありません。
使用する際は、傷が完全に閉じていることを確認してください。
また、肌が弱い方はテープによるかぶれに注意が必要です。
リストカット跡の治療法
当院では、傷跡の状態・範囲・肌質をもとに、お一人おひとりに合った治療プランをご提案しています。
治療法は主に以下の4種類です。
フラクショナルレーザー
こんな方におすすめ
細かい傷が多数ある方、傷跡のテカリが気になる方、皮膚を切らずに治したい方に向いています。
治療のしくみ
皮膚に微細な穴(マイクロホール)を無数に開け、皮膚本来の治癒力を呼び起こすことで、少しずつ新しい肌へと再生させていく治療です。傷跡のテカリは、皮膚の表面が平滑でないために光が乱反射することで起こりますが、フラクショナルレーザーを繰り返すことで表面が整い、周囲の肌と馴染んでいきます。
熱の拡散が少ないため、治療部位の周辺組織へのダメージが抑えられ、赤みや色素沈着のリスクも低く抑えられています。
治療の流れ・注意点
クリーム麻酔を塗ってから照射するため、痛みは比較的軽度です。1回の照射後は乾燥やかゆみが生じることがありますが、時間とともに落ち着きます。紫外線対策と十分な保湿が、治療後の回復を助けます。治療間隔は2カ月が目安で、回数を重ねるごとに改善が見込まれます。
ダウンタイム: 約1週間
費用(1回): 10㎠以下 23,100円〜 / コース割引あり
切除法
こんな方におすすめ
太くて目立つ傷跡を、できるだけ早く・確実に目立たなくしたい方。結婚式や就職活動など、期日が決まっている方にも向いています。
治療のしくみ
傷跡をメスで切り取り、周囲の皮膚を丁寧に縫い合わせる治療です。太い傷跡が細い縫合線に変わるため、リストカットの跡だとわかりにくい状態に近づけることができます。複数の傷が密集している場合や傷が長い場合は、W形成(傷をW字状に切開して肌に馴染ませる技法)を併用することもあります。
形成外科専門医が行う手術ですので、縫合の仕上がりを丁寧に追求できます。
治療の流れ・注意点
局所麻酔を行いますので、手術中の痛みはほとんどありません。1週間後に抜糸を行い、その後は茶色いテープで傷を保護しながら経過を見ていきます。赤みが完全に落ち着くまでには3〜6カ月かかりますので、イベントの直前ではなく、余裕を持ったスケジュールでご相談ください。
ダウンタイム: 抜糸まで約1週間
費用: 10㎠以下 132,000円〜
切除法の詳細は下記の記事でもご紹介しています。
リストカット傷跡の「切除法」とは?外科的治療で目立たなくする方法を解説 – ラジニアクリニック
アブレーション法(エルビウムヤグレーザー)
こんな方におすすめ
切除では対応しきれない広い範囲の傷跡がある方。費用を抑えながら治療したい方。
治療のしくみ
エルビウムヤグレーザーで皮膚表面を精密に削り取り、リストカットの傷跡を火傷跡のような状態に作り変える治療法です。「傷を別の傷に置き換える」と聞くと戸惑う方もいますが、リストカットの跡よりも火傷跡の方がはるかに目立たず、原因もわかりにくくなります。
治療の流れ・注意点
局所麻酔のもとで施術します。術後は約1カ月間、ご自宅での処置(洗浄・軟膏・保護)が必要です。施術後2〜3日は腫れのピークがありますので、患部への負担を避けてお過ごしください。皮膚が上皮化した後は、紫外線対策が非常に重要です。最終的な仕上がりは術後1年かけて整っていきますが、当院では経過中のフォロー体制を整えていますので、不安なことがあればいつでもご連絡ください。
ダウンタイム: 約1カ月
費用: 10㎠以下 148,500円〜
アブレーション法は、下記の記事でも詳しく紹介しています。
リストカットの傷跡治療|アブレーションとはどんな治療か – ラジニアクリニック
皮膚移植術(植皮術)
こんな方におすすめ
傷跡が非常に広範囲にわたる方。縫い閉じることが難しいケースで、1回の手術で完結させたい方。
治療のしくみ
ご自身の別の部位(足の付け根など)から採取した皮膚を、傷跡部位に移植する治療法です。採取した皮膚の厚さによって分層植皮・全層植皮などに分かれており、厚みのある植皮ほど術後の収縮が少なく、自然な質感が得られます。ケロイドになりやすい体質の方にも比較的リスクを抑えて対応できます。
治療の流れ・注意点
術後1週間は患部を水に濡らすことができません。移植した皮膚が生着するまでの間、コットンガーゼによる固定が必要です。広範囲の傷跡でも1回の手術で対応できるため、複数回の通院が難しい方にも選ばれています。
ダウンタイム: 固定期間約1週間
費用: 分層植皮10㎠以下 352,000円〜
皮膚移植については、以下の記事でも紹介しています。
リストカットの治療、皮膚移植術(植皮術) – ラジニアクリニック
治療期間の目安
| 治療法 | 手術・照射回数 | 肌が落ち着くまで |
| フラクショナルレーザー | 複数回(1カ月に1回) | 1週間/1回あたり |
| 切除法 | 基本1回 | 3〜6カ月 |
| アブレーション法 | 基本1回 | 約1年(自宅ケア含む) |
| 植皮術 | 1回 | 生着確認後、経過観察6か月~1年 |
※いずれも傷跡の範囲・深さ・肌質によって個人差があります。
各施術の詳細は下記のページでご紹介しております。
リストカットの傷跡を消したい方へ治療法の比較と費用を紹介します。レーザー・切除・アブレーション・皮膚移植術(植皮術)を医師が比較|ラジニアクリニック
傷跡が変わると、自分が変わる
治療を受けた患者さんから、
「腕を気にせず人と話せるようになった」
「ずっと諦めていた半袖を着られるようになった」
といったお声をいただくことがあります。
傷跡の見た目が変わることは、単なる美容的な変化ではなく、
日常の行動や自分自身への見方に影響することがあります。
一人で抱え込まず、まずはご相談ください。
カウンセリングでは現在の傷跡の状態を丁寧に確認し、
形成外科専門医が、あなたに合った治療の選択肢をわかりやすくご説明します。
その場で治療を決める必要はありません。
形成外科専門医の植木が直接対応いたします。